こんにちは、税理士の天河(あまかわ)です

所得税の確定申告が始まりました

個人事業者の方は、決算と申告の準備で忙しくされている方も多いのではないでしょうか

記帳や決算で「経費科目をどれにすればいいの?」という声をよく聞きます

税務署に尋ねても、会計処理の部分は教えてもらえません

そこで、今回は経費科目の区分とポイントをまとめてみました

※青色申告決算書の経費科目に沿って説明しています

 

経費ごとの区分

まずはじめに、経費を次の3つに区分します
①事業用の経費
②個人的な経費(家事費)
③事業用と家事費が混在するもの

①は、そのまま経費に計上します
②は、経費に計上できません
③は、事業用部分を合理的に案分して経費に計上します

一般的に、「どの経費科目にするのか」は、その支出内容や目的によってわかれますが
定期的に発生する経費は、同じ科目で処理することが重要です

また、年間の支出金額が多いものは、決算書に設定されている科目にとらわれることなく、独自の科目を設けて処理すれば分析がしやすくなります

 

租税公課

必要経費に算入できる税金が含まれます
・事業用資産にかかる固定資産税
・事業用車両の自動車税
・収入印紙
・個人の事業税
・消費税(税込経理の場合)

【注意点】
・所得税、住民税、加算税、延滞税など、必要経費にならない税金を計上しないよう注意しましょう
・同一年分の消費税については、未払金計上すればその年の必要経費になります(税込経理の場合)

 

荷造運賃

商品や荷物の発送費用など、運送業者や宅配業者への支払いが含まれます

【注意点】
郵便費用(切手代)は「通信費」になりますので、混在しないよう注意しましょう

 

水道光熱費

電気代、ガス代、水道料などが含まれます

【注意点】
・自宅兼事務所の場合は、家事使用分と合理的に案分して計上します
・12月以前の月分が翌年支払になっている場合には未払計上ができます

 

通信費

・郵送料(切手代)
・電話代、携帯電話料金
・インターネット利用料金

【注意点】
・自宅兼事務所の電話代などは、家事使用分と合理的に案分して計上します
・12月以前の月分が翌年支払になっている場合には未払計上ができます

 

広告宣伝費

広告や宣伝のための費用が含まれます
・折込み広告の費用
・求人広告
・名刺代
・地域のイベント協賛金のうち、広告費として支払うもの

 

接待交際費

・取引先接待のための飲食代
・中元・歳暮
・祝い金
・香典

【注意点】
・飲食などの領収証は必ず保存し、接待先などをメモ書きしておくことをおすすめします
・香典のように領収証が発行されないものは、会葬御礼に香典金額を記入するなどして保存しておきましょう

 

損害保険料

事業用資産にかかる損害保険料などが含まれます
・事業用車両の自動車保険料
・事業用建物の火災保険
・商品に係る損害保険料

 

修繕費

事業用資産の修繕費用が含まれます
・事業用車両の車検・整備費用
・事業用建物の修理費用

【注意点】
次のような改修・改良は「資本的支出」として減価償却資産になる場合があります
・その資産の使用可能期間を延長するような改良
・元の資産に物理的に付加した部分
・資産の用途変更のための模様替えなど
・元の資産の機能を高める改良や改造
※金額が20万円未満の場合など一定の要件をクリアすれば、上記の内容であっても修繕費にすることができます

 

消耗品費

・事務用品(文房具、用紙類、書籍など)
・業務用品(作業用工具、手袋、エプロン、レストランなどの食器など)
・取得価額が10万円未満(又は使用可能期間1年未満)の備品
・従業員に一律で使用させる作業服

【注意点】
・事業形態によっては、業務用消耗品を別科目で管理した方が、分析しやすくなる場合があります
・年末時点で未使用の消耗品は「貯蔵品」として経費にならない場合があります
(1年以内に使用する程度の在庫は、年末までに支払済みであれば、短期前払費用として必要経費に算入できます)

 

減価償却費

減価償却資産を耐用年数に応じて、毎年経費にする科目です

【注意点】
・決算書3ページの「減価償却の計算」と金額が一致しているか確認しましょう
・少額減価償却資産の特例により、取得価額を全額経費算入した場合も「減価償却費」となります

 

福利厚生費

従業員の慰安などのために支出した費用が含まれます
・従業員全員を含めた忘年会、新年会、慰安旅行などの費用
・事業主負担となる、従業員の社会保険、厚生年金、雇用保険などの保険料など

【注意点】
一般的に、家族経営の場合には、飲食費や慰安旅行費用は経費として認められません

 

給料賃金

給料、賃金、賞与、退職金などが含まれます

【注意点】
・専従者給与は給料賃金科目には計上しません(専従者給与で計上)
・現金支給した給与以外にも、現物支給したものも給与に該当する場合があります

 

外注工賃

他の業者に仕事を依頼した場合の費用が含まれます
・建築業者の場合の水道工事、内装工事などの作業を専門業者へ依頼

【注意点】
生計を一にする親族への外注費は、原則として経費に認められません

 

利子割引料・支払利息割引料

事業用資金の借入利息や手形割引料などが含まれます
・事業用の車両を自動車ローンを借りて購入した場合の利息

【注意点】
個人的な借入金(住宅ローンなど)の利息は必要経費に含まれません

 

地代家賃

店舗、事務所、工場、倉庫などを借りている場合の家賃や地代が含まれます

 

貸倒金

売掛金や貸付金が回収できなくなった場合に計上します
・過去に収入計上した売上等にかかる売掛金、受取手形が回収不能になった場合
・貸付金などが回収不能になった場合
※貸借対照表を作成している場合のみ認められるものです

 

雑費

事業上の費用で他の経費科目に当てはまらないものが含まれます

【注意点】
・一般的には、単発取引や少額取引の経費を計上します
・他の科目に当てはまらないものでも、定期的な取引や多額な費用は、個別に科目を設けて計上することをお薦めします

 

領収証が発行されないケース

領収証が発行されない費用というのもたくさんあります
そういったケースの対策を書いておきます

①切符代やバス代などの旅費

仕事で出張する場合の旅費は必要経費になります
JRの切符は窓口で購入する際に領収証を請求すれば発行してもらえますが、バスなどは領収証がありません
こういったケースでは、出張清算書などを作成し、旅程と掛かった経費を明らかにしておきましょう

②自動販売機で購入した作業現場の飲み物代

夏場の工事現場では、作業員の福利厚生のため自動販売機で飲み物を購入するケースもあると思います
この場合は、日付と本数・金額などをメモして残しておきましょう

【注意点】
上記で説明したケースは「領収証が発行されない」場合の対策です
したがって、領収証は発行されたけど「紛失した」とか「もらわなかった」という場合は含まれませんので注意してください
領収証を紛失した場合には、領収証を再発行してもらうか、他のもので支払事実を証明しない限り、経費に計上できません

 

共通事項

最後に、経費を計上するうえで、共通して注意することをまとめておきます

①当然ですが、個人的な経費は計上できません

②交際費や福利厚生費などで、個人的な支出ではないかと疑義が生じる可能性があるものは、事実関係をメモしておきましょう(取引先の名前など)

③事業用部分と家事部分が混在する経費は、実態に合わせて合理的に案分しましょう

④領収証が発行されない支出は、取引事実が分かる資料を確実に保存しましょう

⑤いわゆる「レシート」も領収証なので、わざわざ「領収証」を発行してもらう必要はありません

といったところでしょうか

「個人事業者が決算のときチェックするポイント」も参考にしてください

 

Caution
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また、読む方のために分かり易い表現で記述しており、著者の個人的見解も多く含まれていますので、前提条件などによっては記事内容の取り扱いと異なる結果になるケースもあります。
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