よく「経費科目は何にすれば良いですか?」という質問を受けることがあります。

会計原則に従って考えれば、それぞれ適正な科目はあるわけで、経理担当者にとっては気になるところですよね。

でも実は、税務上あまり気にしなくても良い勘定科目が存在するのです。

極端な話をすれば、特定の「気にするべき科目」以外は、どんな科目でも良いという話。

もちろん、特定の科目以外は「雑費」で処理することも可能ではありますが、それだと経営分析ができませんので、お勧めはしません。

ただ、「税務上」は科目が間違っていても問題にならないものが存在するのは事実です。

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少額な支出は勘定科目を気にしなくて良い

会計処理を正確に行うことは良いことですが、あまりにも気にし過ぎると事務の効率を下げることになります。

そこで、あまり勘定科目を気にしなくても決算や税務申告に影響しないケースを紹介します。

まず、年間取引金額が少ない科目です。

注)年間金額の大きな科目は税務上に影響しない場合であっても、分析や経営計画に影響するので、正しい科目で処理する方がが賢明です。

科目を気にしない処理の例

事務用品を購入したときは通常「事務用消耗品費」という科目を使います。

本を購入したときは「新聞図書費」という科目を使うケースが多いです。

しかし、これらの取引を全て「消耗品費」で処理したとしても特に問題はありません。

あるいは、ホームセンターなどで材料と工具を一緒に購入した場合。

正確には、購入した内容に応じて、仕入と消耗品費に科目を分けて計上することになります。

しかし、金額が少額であれば、どちらかの科目にまとめて計上しても特に問題はありません。

 

あくまでも、税金の計算に大きく影響しない少額な取引を対象にしている話です。

 

消費税の課税事業者は注意

勘定科目は気にしすぎなくても良い、という話をしましたが、気にした方が良い科目も存在します。

特に消費税の申告義務がある事業者の場合には、勘定科目を誤ると消費税の納税額に影響するケースもあるので注意が必要です。

例えば、租税公課や会費などは消費税の非課税取引になるため、消費税申告の中では「仕入税額控除」の対象外です。

もしも、こういった非課税取引を課税取引になる別科目で処理してしまったら、消費税の税額計算を間違えることになります。

消費税の非課税・課税対象外の例示

給与・賞与・退職金、法定福利費、支払保険料、租税公課、寄付金、諸会費、支払利息、借地料

(注)取引内容によって課税と非課税が混在するものがあります。
(注)基本的に国内取引であることを前提に例示を示しています。

 

気にするのは科目ではなく内容

所得税の計算のうえでは、勘定科目は余り気にしなくても良いことが分かっていただけたと思います。

実際のところ、税金を計算するうえでは、科目が何か?よりも「経費になる内容かどうか」の方が重要になります。

事業上の必要経費になるかどうかは、取引によって様々な判断基準があります。

一般的には「事業を行う上で必要なものかどうか」が判断基準だとされていますよね。

厳しめの基準としては「その支出は売上に貢献しているか」とか「その支出は事業を行っていなければ発生しないものか」という意見もあります。

ちなみに、国税庁の見解としては「売上原価と収入を得るために必要な経費」となっています。

あまりにも漠然としているため、税法に個別規定のある「必要経費にならないもの」以外はグレーなものも多いのが現実です。

個別に規定されている「経費にならないもの」

・家事上の費用(個人的な消費活動によって発生する経費)

・生計を一にする親族に支払うもの(要件を満たす専従者給与は必要経費になります)

・所得税、住民税、罰金、過料(事業税は必要経費になります)

(注)家事上の費用と事業用の経費が混在する水道光熱費などは合理的に按分すれば経費にできます。

 

決算の注意点①未払いの経費

年末時点では、まだ支払っていない経費であっても、取引が年内に完了しているものは必要経費になります。

経費の多くは取引のあった日の翌月払いになっているケースが多いと思います。

特に12月分の取引にかかる経費については、翌年の1月に支払いが行われることが多いはずです。

こういった経費は、取引のあった年の必要経費になりますので、計上もれが無いように注意しましょう。

未払い経費の例示(年内取引分にかかるもの)

・従業員給与(年内の勤務に係るもの)
(注)青色専従者給与は年内に支給したものしか必要経費になりません

・仕入(12月までに納品があったもの)

・消耗品費(事務用品などで12月までに購入したもの)

・水道光熱費(電気、ガス、水道などで12月分までの分)

・リース料など(毎月発生するもので12月までの分)

 

決算の注意点②前払いの経費

経費の中には、年内に支払っているけど「来年以降の分」を前払いしているものもあります。

このような前払いの費用は、原則として、支払った年の必要経費にはなりません。

例えば、家賃などは一般的に翌月分を当月末までに支払っているケースが多いので、前払い費用に該当します。

ただし「短期前払費用の取り扱い」というのがあって、結果的には経費になるんですけどね(笑)

具体的には、当年中に実際に支払っているもので、取引が向こう1年以内に係るものであれば、支払った年の必要経費にしても良い、という規定があるのです。

先の家賃などのように、1か月分だけ前払いになっているようなものは、支払った年の経費でも良いということです。

したがって「向こう1年を超える期間に係る費用を前払いしたとき」だけ、経費にならない部分が出てくるということになります。

ちなみに、向こう2年分を9月に前払いした場合には、今年の9月~12月分だけが今年の必要経費なります。

 

まとめ

ということで、今回の話をまとめます。

1、少額な取引は経費科目を気にし過ぎる必要はない

2.消費税の申告が必要な年は課税か非課税かに注意

3.経費になるかどうかはグレー

4、決算のときは未払経費や前払経費に注意

特に注意するべきは、2~4です。

決算や申告で誤った処理をすると、後で修正申告などの対象になってしまうので要注意ですね。

もっとも、1の勘定科目についても、経営の分析や計画のうえでは大切な部分なので、できれば正しい科目で処理することをお勧めします。

さらに、ある程度の事業規模になってきたら、経費を「変動費」と「固定費」に分類して分析してみるのも良いでしょう。

変動費は売上原価以外の経費のうち、売上の増減に伴って変動するような経費科目のことです。

こういった分析を取り入れることによって、限界利益や損益分岐点などを算出することが可能になります。

 

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