経理や会計処理に関して、近ごろ多く目にするのは「効率化」というキーワードです。

これらバックオフィス業務は売上に直結しない、いわば「非生産的作業」のため、金銭的にも時間的にも効率化していきたいと考える人が多いのではないでしょうか。

私は税理士事務所を開業する前に、国税の職場で業務効率化対策に携わっていたことがあるのですが、既存の業務を効率化させるのは、とても難しいものでした。

今回は、そんな経験を踏まえて、作業の効率化と時短(時間短縮)の違いや、効率化に向けた考え方などをまとめてみました。

効率化と時短の違い

効率化も時短も同じ概念だと勘違いしている人がいるようですが、「効率化」と「時短」は違う概念です。

時短対策をザックリ言えば、「作業時間を短縮する」ということ。

つまり、今まで10時間かかっていた作業を3時間でできるようにするのが、時短対策ということになります。

一見すると効率化と同じように感じるかもしれません。

しかし、効率化ということをザックリ言うと…

1人で10時間かかっていた作業を、1人5時間で出来るようにする」

あるいは

2人で10時間かかっていた作業を、1人10時間で出来るようにする」

ということです。

つまり

作業の全体量=作業人員×時間」を少なくするのが効率化なのです。

対して、時短対策というのは、「時間」だけを短縮するものだと言えます。

 

時短対策だけでは不十分

冒頭で、効率化は難しいと書きましたが、これに対し「時短」は比較的簡単です。

例えば、単純に「作業にかける人数を増やす」とかでも良いわけです。

1人で作業すると10時間かかってしまう業務の場合、2人で作業すれば半分の5時間で済みます。

もちろん、作業内容によっては必ずしも時間短縮にならないケースもありますが、定型化されたような作業であれば、概ねこの考え方が当てはまるのではないでしょうか。

ただ、この「作業人員を増やす」という方法は、納期が迫っているなど「時間的制約」がある場合だけ有効な対策です。

そして、「必ずしも効率化になるわけではない」という側面があるのです。

実際に私も試したのですが、共同作業が可能な業務について複数の職員で作業に当たらせたところ、通常より数日早く業務を完了することができました。

つまり、時間短縮ができたわけです。

しかし、全員の「トータル作業時間」を見てみると、従来の担当者が1人で処理した場合よりも増えていたのです。

つまり「非効率」になっていたわけですね。

 

効率化は人日の面積を小さくすること

国税の職場に限らず、国家公務員の世界には「人日」という考え方があり、この数値によって業務効率を測るということがおこなわれてきました。

人日とは、1人の職員が1日(8時間)に従事できる業務量を数値化したもので、建設業などに見られる「人役」に似たような考え方です。

数式で示すなら、「従事人員×作業時間」ということになります。

効率化を考えるときは、ひとつの業務に掛かる「人日」を、いかに少なくするかということを考えなければいけません。

例えば、1人で10日かかる作業があるとします。人日に換算すれば「10人日」となります。

この作業を2人で行い、時間を半分の5日に「時短」した場合、以下のとおりです。

お分かりだと思いますが、トータル作業量である人日は、時短前と同じ「10人日」のままです。

これでは「効率化」されたとは言えません。

効率化するというのは、以下のグラフに表したとおり、全体作業量である人日を少なくしなければならないのです。

1人でも5日で作業完了できるように改善した場合の例

時短対策が「時間軸の長さだけを短縮する」のに対し、効率化は「人日の面積を小さくする」ものであることが分かると思います。

 

効率化には技術革新が必要

ここまで述べてきた通り、時短対策と効率化が違う概念であることはお分かり頂けたかと思います。

問題は、「じゃあ、どうやって効率化するの?」という話ですよね。

実際の効率化策というのは、その効率化させたい業務の内容によって多種多様に分かれてしまうので一概には言えませんが、一般的には、以下のような技術革新によって効率化が図られているケースが多いです。

①手作業→機械化

②機械化→IOT化

③IOT化→AI化

IOTとAIは併用されるケースが多いので、③の手法が必ずしも効率化対策として用いられているとは言い難い面もあります。

いずれにしても、人の手による作業を少なくし、できるだけ「自動化」していくことが効率化の近道だと言えます。

 

経理や会計こそ効率化が必須

私の専門分野である経理や会計の世界でも、クラウド会計ソフトが増えてきて、預金やクレジット取引との自動連動によって経理や会計の作業効率化が急速に進んでいます。

経理や会計処理には一定のルールが存在するので、効率化対策に向いている「定型的作業」だと言えます。

そう考えれば、新たなテクノロジーやイノベーションによって、定型的な作業は効率化できることの表れなのかもしれません。

冒頭にも触れた通り、非生産的作業であるバックオフィス業務こそ、最優先で効率化に取り組むべき項目ではないでしょうか。

「いままでの方法に慣れているから…」と足踏みをしていたのでは、いつまでも効率化は実現できません。

私が国税時代に効率化対策に取り組んでいて一番の障壁になったのも、この「いままでの慣習」に職員自体が慣れてしまっていたことでした。

新しい技術の導入には必ず抵抗が生まれます。しかし、新しいことに取り組まなければ未来は開けないのも事実です。

もちろん、新しいことに取り組めば失敗することもあるでしょう。

しかし、失敗しても「もとに戻せばいいだけ」なのです。

そのためには。新しい試みをする際のコストを可能な限り抑えておくことも必要です。

最新のクラウド型会計ソフトでは、比較的安価でバックオフィス業務の多くをカバーできるものがありますので、検討してみる価値はあると思います。

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