団塊世代が退職年齢に達したことと少子化の影響で、日本の労働力不足問題が益々注目されている昨今

経営者にとって問題になるのが「事業承継」です

現在の事業をどのように後進に譲り渡すかという問題なのですが、一番の悩みは「後継者不在」の問題ですね

病院などのように比較的後継者が見つかりやすそうな職種であっても、後継者不足に悩んでいます

さて、そんな事業の引継ぎをおこなう場合に、消費税の納税義務がどうなるのか?

今回は個人事業者の消費税の納税義務関係をまとめておこうと思います

 

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事業承継のケースは2つ

事業を承継するケースは、大きく分けて2つあります

ひとつは、相続による承継です

事業主が亡くなった場合に、後継者がその事業を引き継ぐというケース

もうひとつは、事業主が生前のうちに後進に経営を引き継ぐというケース

前者の相続による事業承継の場合と、後者の事業承継の場合では、消費税の納税義務が異なってきますので、今回はその辺を説明していきたいと思います。

なお、今回は「他人に事業を承継する」ケースについては、営業権譲渡などの問題も絡んできて相当ややこしくなるので触れません

 

生前に事業承継した場合

こちらのケースでは、前事業主が事業を廃業して、後継者が新たに事業を開業したものとして取り扱います

※以降は、後継者が事業を引き継ぐ前に他の事業を行っていなかったものとして説明します

つまり、事業所(お店など)は同一でありながら、両者は全く別の納税者だという考え方になるのですね

したがって、青色申告の承認申請なども後継者が改めて申請しなければなりません

消費税の納税義務については、事業を承継したときに開業したという考え方になります

つまり、基準期間や特定期間の課税売上等によって消費税の納税義務を判定することになるのです

基準期間というのは、その年の前々年のことで、基準期間の消費税課税売上高が1千万円以下であれば、その年の消費税は免税となります

特定期間というのは、その年の前年の1月から6月までの半年間のことで、この特定期間の課税売上高(又は同期間の給与支給額)が1千万円以下であれば、その年は免税になります

事業承継者について、もっと分かり易く説明すると

開業初年度は、基準期間(前々年)に事業をしていませんので消費税は免税になります

開業2年目についても、基準期間(前々年)に事業をしていませんので基本的には免税になります

しかし、特定期間(前年の1月から6月)には事業をしているため、特定期間の課税売上金額等により消費税の納税義務を判定することになります

開業3年目については、開業初年度の課税売上高が1千万円以下かどうかで免税か課税かの判定をします

つまり、半年で売上(給与支給額)が1千万円超になるような事業でない限り、基本的には開業から2年間は消費税の免税事業者ということになるわけです

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相続による事業承継の場合

所得税法のうえでは、上記の「生前に事業承継をした場合」と基本的には同じ考え方になります

したがって、青色申告の承認申請などは、後継者が改めて申請手続きをしなければなりません

一方、相続により事業承継となった場合、消費税の納税義務の判定は違ってきます

消費税では、前事業主の事業を後継者がそのまま引き継いだというふうに考えるのです

事業を承継した人(相続人)の消費税の納税義務を判定する際にも基準期間の課税売上に基づいた判定をするわけですが

この基準期間の課税売上には、前事業主(被相続人)の同期間の課税売上を含めて判定することになるのです

例えば、前事業主の平成26年分の課税売上高が2千万円あったとします

相続が平成28年に発生し、相続人が事業を承継した場合、消費税の基準期間は平成26年になります

相続人は今回の相続による事業承継で初めて事業を始めるというケースであれば、通常は基準期間がない(課税売上高はゼロ)ということになるはずです

しかし、相続による判定では、前事業主(被相続人)の平成26年の課税売上を含めて判定するため、平成28年は課税事業者になってしまうわけです

ちなみに、相続があった年の翌年の納税義務の判定についても、前記とはちょっと計算方法は変わりますが、前事業主(被相続人)の基準期間における課税売上を含めて判定することになります

なお、前事業者が提出していた消費税の「簡易課税選択届出書」などの効力は、後継の事業者には引き継がれませんので注意しましょう

ということで、生前に事業承継した場合と、相続により事業承継した場合では納税義務に違いがでてくるというわけです

相続で事業を承継するよりも、生前に事業を引き継ぐ方が、ケースによっては消費税のメリットがあるといえますね

消費税の課税問題に限らず、事業承継を検討している方は、早めに後継者を決めておいたほうが、スムーズに事が進められると思います

 

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