事業計画で目標売上を先に決めてはいけない理由
いざ、「開業するぞ、目指せ年収1千万円!」
意気込みは良いのですが、間違っているのは「年収1千万円」というところです
一般的に収入と利益は比例する場合が多いのですが、商売の仕方によっては反比例することも多いのです
商売をする上で、最も重要な数値は「利益」なのです
事業計画では、目標利益を算定した上で、目標売上を算出する方が合理的だといえます
今回はラーメン店の新規開業の例を使って説明します
(サンプルなので用いる数字もサンプルです)
①ラーメン屋を開店するため、駅前に店舗を借りた(家賃50万円/月)
②ラーメン1杯の材料費等(原価)は、200円
③従業員を1人雇う(保険関係も含めて支出20万円/月)
④その他の諸経費5万円/月
⑤1か月の営業日数は平均25日
以上の条件で、「ラーメン1杯の値段」をいくらに設定すればよいか?を考えていきます
1日50杯ラーメンが売れるとした場合
《原価費用》
原価(200×50杯×25日)+家賃50万円+人件費20万+諸経費5万円
=100万円
《目標単価》
100万円÷(50杯×25日)
=800円
つまり、
1杯800円に単価設定しても利益0円ということになります
さらに言えば
800円もするラーメンが、1日50杯売れるかどうか?
50杯売れたとしても、それでトントンでは、ちょっと厳しいですね
1日70杯ラーメンが売れるとした場合】
《原価費用》
原価(200×70杯×25日)+家賃50万円+人件費20万円+諸経費5万円
=110万円
《目標単価》
110万円÷(70杯×25日)
=約630円
一般的なラーメンの値段に近づいてきました
しかし、1日70杯のラーメンを売るのは、現実的に高いハードルです
なかなか利益が出ない理由
実を言うと、この事例で利益が出ない最大の理由は「家賃が高すぎるから」です
したがって、解決策としては「もっと家賃の安い店舗を探す」ということになります
どうしても、この店舗で営業するのであれば、サイドメニューを増やしたりお酒を提供するなどして客単価を上げていくことを考えなくてはいけません
ところで、
1日50杯のケースでは、年間売上1千2百万円となりますので
「目指せ年収1千万円!」は達成しているのです!
しかし・・・利益は0円です
売上ばかりに目を奪われてはいけないという話でした
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