立法者が語った「税法のあり方」とは

今月1日から、政府税調では所得税法等の改正案の検討がおこなわれています

それにしても、税法というのは毎年のようにコロコロ変わりますねぇ~

まあ、社会情勢や経済情勢の移り変わりが早いので、しょうがない部分はあるのですが・・・

ところで、「租税特別措置法」というのをご存知ですか?

その名のとおり、租税の取り扱いについて、特別な措置をするということを決めた法律のことで

分かり易くいうと、本来の法律の規定は無視して、特別扱いしましょうという法律です

例えば、震災等の大規模災害に対応するため、被災者の申告期限を大幅に延長するとか

経済対策のために、本来は経費にならないようなものも経費にしていいですよ、とかいうものです

実は、この特別措置法というのが、い~っぱいあるんです

そりゃあ、とても憶えきれないくらいあるんです

なんで、そんなに沢山の特別措置ができたかというとですね

経済対策というのが一番多くて、法人税法に関する特別措置法は、ほとんど経済対策です

機械を購入したら通常の減価償却計算よりも多く損金に計上できるという「特別償却」などがそれです

話は変わりますが、今から十数年前に、現在の法人税法を作った人(正式には全文改正に携わった人)から話を伺ったことがあります

各条文の制定にあたり、どういったことを考え、想定していたのかという、非常に貴重な話でした

そのとき、その方が最後に話しておられたのが

「税法というのは明確でなければいけないのだが、今の法人税法は、私たちが作った時の原型を留めていないほど改正が加えられ、今や税理士などの専門家でも読み解くのに苦慮するほど複雑怪奇なものになっている。さらに、特別措置法をむやみに作ったせいで、よけいややこしくなった。これでは、明確性は保持できないのではないか?」

という話です

ちょっと、難しい言い回しでしたので、分かり易くいうと

もともと全文改正をしたときの法人税法は、スッキリして読みやすかった

その後、度々改正が入ったせいで、条文が読みにくくなった
(特にこの話を聞いた年の前年に組織再編税制という大幅な条文改正があったばかりでした)

さらに、特別措置法をやみくもに作ったから、専門家でもよく分からないほど難解な法律になってしまった

せっかく、スッキリと整理し、読みやすい法人税法に全文改正したのに、またグチャグチャにしやがって!

という意味です

特別扱いも度を超えると良くないのです

たしか、税制調査会の会長である中里実教授も同じようなことを話しておられました

「租税には明確性の原則というのがあるんですが、租税特別措置法がバラバラと存在する現在の状態は、はたして明確なのでしょうか?」

 

 

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