ネットの質問サイトで税務の取り扱いを質問するのは要注意です
こんにちは、税理士の天河(あまかわ)です
税理士という仕事をしていると、「税金や会計のことは何でも知ってる」と思われがちです
しかし、私を含めて多くの税理士や会計士が「何でも知っている」ということはありません
やはり、人によって得意分野とそうでない分野はあります
例えば
法人税には詳しいけど、相続税はそれほど詳しくないとか・・・
車の修理工場を経営している人が、全ての車種を修理できるのか?
ということと同じです
中学校から科目ごとに違う先生が授業をするのも同じです
専門性が高くなるにつれて、「何でもOK」というわけにはいかなくなるのです
私も、時間のあるときには、本を読んだり税制改正の資料に目を通していますが
結構「え?そんな取り扱いになったの?」とか、あります
税法に限らず、法律は多岐にわたりますし、それぞれの条文には施行令や施行令規則が付いてきます
さらに、取り扱いを定めた通達や、例外規定とも言うべき特別措置法などもあるのです
極端な話、これら全ての規定を頭に叩き込んだとしても
実際に発生する事例への「当てはめ」に、更に頭を悩ませることになるわけです
そんなわけで、実務的には相談を受けてから「調べる」という対応がほとんどです
もちろん、一般的な取り扱いは即答しますが、そういう手の一般質問は少なくなっています
というのも、一般的な相談はネットで調べれば、ほとんど解決できてしまうからです
ただし、ネット上の情報の半分は誤り(若しくは正確ではない)ということを認識しておきましょう
特に、「教えてGoo」や「ヤフー知恵袋」などの質問サイトの情報は、専門外の人が回答しているケースも多いので、参考にする程度にとどめるべきでしょう
そのまま鵜呑みにしないほうが良いです
例えば
「個人事業主ですが、事務用品をクレジットで購入したときの仕訳を教えてください」
という質問に対して
「事務用消耗品費/事業主借」です
という回答がされていたりします
間違いではありませんが、正確でもありません
クレジットの引落し口座は、事業用口座なのか個人口座なのかによって仕訳は変わってきます
さらに、期中に未払経理するのかどうか?によっても答えは変わってきます
答えは1つではないのです
【例1】
クレジット引き落とし口座が事業用口座の場合で、未払経理する場合
購入時:事務用品費/未払金
決済時:未払金/普通預金
【例2】
クレジット引き落とし口座が事業用口座の場合で、期中現金主義の場合
購入時:仕訳なし
決済時:事務用品費/普通預金
【例3】
クレジット引き落とし口座が個人口座の場合で、未払経理する場合
購入時:事務用品費/未払金
決済時:未払金/事業主借
【例4】
クレジット引き落とし口座が個人口座の場合で、未払経理しない場合
購入時:仕訳なし
決済時:事務用品費/事業主借
又は
購入時:事務用品費/事業主借
決済時:仕訳なし
※例2と例4上段の方法を採用した場合には、原則として年末に決算調整が必要になります
このように、比較的簡単な内容の質問であっても、回答はこんな感じになります
税務や経理の取り扱いは、前提条件がチョット違うと、全く違う取り扱いになるものが多いのです
専門家でも時間をかけないと分からないようなケースも多いのです
ネット上で収集した情報は、自分でよく吟味し、確認してから活用するようにしましょう
また、法律関係に関わる内容は、専門家に相談することをお勧めします
(追記)
質問サイトには、多くの「税務調査」に関する質問も見受けられますが、やはり半分以上は「正確ではない」回答がされていると感じます
「税務署に怒鳴りこめ!」みたいなのもありますねwww
税務調査でお悩みなのであれば、税理士に相談することをおすすめします
【コラム投稿に関する注意点】
コラム(税理士の日記)に投稿された内容は、執筆当時の法令や情報等に基づいており、前提条件を限定した内容となっています。
安易にそのまま適用されることのないよう、お願いいたします。
実際の税務や会計の処理にあたっては、最新の法令やご自身の条件を検討のうえ、不明な点は専門家等へ個別にご相談してください。